株式会社メディオクリタス

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事例・実績

モジュラーデザイン導入による製品開発プロセス改革

設計プロセス改革、モジュラーデザイン

機械部品業界

技術開発&設計、生産

改革目標
・量産製品開発効率化&新技術開発へのリソースシフト
・製造要件の早期フィードバックによるコストダウンの実現
プロジェクト背景
B2C、B2B向けの機械部品メーカであるM社では、新製品に向けた新技術開発にリソースを割り当てたいが、量産設計でひっ迫しており、割り当てられない状況であった。また、急成長した企業であり、一昔前では少人数が阿吽の呼吸で行っていた業務も、人員が増えたことでコミュニケーションミスが起こるようになり、組織的な業務への変革や技術伝承が急務となっていた。その際、技術担当役員がモジュラーデザインの手法や設計手順書による暗黙知の形式知化に着目し、本プロジェクトが開始された。
プロジェクト概要
M社では、製品ラインアップの体系化はされていたので、モジュラーデザインの中でも設計手順書整備、及び一括企画プロセスの導入をスコープとして取り組んだ。
設計者へのヒアリングを基に設計手順の現状を確認すると、技術や理論はとても素晴らしく企業の強みの源泉になっていることは確実であった。一方で、職人的に代々引き継がれ改良を積み重ねられているものだった。その結果、エクセルの設計計算シートは、大元の理論や各計算式の繋がりが体系的になっておらず、増改築を繰り返した旅館の様になっていた。
設計部門の目標として、設計効率化と2年目設計者の即戦力化を掲げており、設計手順書整備として、設計手順から計算シート内容までを紐解くことを行った。設計の最初から整備を進めて行くと、論理的に成り立っていない部分や、暗黙知であるが故に言語化や数式化が難しい領域があった。これらを形式知化すると共に論理的につながるよう整備を進めた。我々としては、エンジニア出身のコンサルタントの強みを活かし、技術的な深掘りと手順の整流化を同時に行い、作り上げていった。

一括企画プロセスの構築・導入に関しては、企画や生産技術部門の巻き込みも必要となる為、ワークショップなどを行い部門横断での一体化を図った。また、各部門長との認識合わせなど根回し的なところも事務局として行った。これらによって、事務局主体で描いたプロセスの目指す姿に対して、各部門の意見出しから反映までをスムーズに進めることができた。
一括企画プロセス構築と同時に設計製造連携強化も行い、この中で製造要件を早い段階で企画・設計へフィードバックできるプロセスを組み込んだ。これによって、従来よりも製造コストを考慮した設計が可能となり、コストダウン効果を得やすいプロセスとなった。

最終的に、一括企画プロセスと設計手順書の導入を行い、これらの運用・メンテナンスルールや運用体制を整備した。継続的にM社にて自走できる形にしてプロジェクトは完了した。
変革ポイント
・企画~設計~製造の部門横断の製品開発プロセス再定義
・全製品群の機能設計手順書整備
・生産要件標準化と設計フィードバックの仕組み化
効果
・特定製品の設計時間10分の1、かつ性能の向上
・コストダウンの実現(数億円規模の見込み)
ご支援内容/PJ活動内容
①一括企画プロセス構築、コストダウン最大化の為の設計製造連携プロセス構築
②モジュラーデザインの為の設計手順書整備
③設計手順書、一括企画等の各種ツールの運用ルール作成、メンテナンスルール作成
④週次進捗定例、社長報告資料作成、社長~担当者までのコミュニケーション、部門横断のコミュニケーション
期間
3年
担当ダイレクターから一言
M社はモチベーション高く、経営層から担当までの風通しの良いカルチャーがあり、改革という変化を伴うことに対しても前向きに捉えて頂き、活動を推進しやすい環境だった。
一方で、設計標準化という目線で見ると、職人かの如く、先輩から後輩へ口伝され、その中には暗黙知が多分に含まれていた。初めは形式知化することへの抵抗が若干あったものの、トップダウンの指示と現場リーダーのミドルアップ&ダウンによって推進することができた。改革の推進と成功には、現場リーダーが肝と実感したプロジェクトであった。
プロジェクトのその後
モジュラーデザインと一括企画プロセス構築がひと段落した後、プロジェクトの事務局が組織となり、導入支援と維持運用を継続して行うこととなった。
その後、カスタマーサービス領域における市場の情報を開発へフィードバックする為の業務改革など、開発を中心としたバリューチェーンの改革において関わらせて頂いている。