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知見・論考

第2回 逆転キッチン 池田和寛談

逆転キッチン
理想のチームの在り方・優秀さとは
メディオクリタス池田和寛が著書「逆転キッチン」を語ります。
開発部署に左遷?とは
逆転キッチンでは、「これまでにないキッチンを作りなさい」という命題で組織が立ち上がっていますが、ROIでの意思決定手法で投資判断をしてきた会社から見ると、これまでにないキッチンをどう判断するか難しいところがあると思います。R&Dもそうですが、今までにないものを生み出すというところに対して判断軸がないという。それってうまくいっているのかいないのか、もしうまく製品開発ができたとしてもそれって売れるのかどうかが分かりづらい。
本来なら、未来への投資はやらなければならないところなのですが、未来への投資というのがどれくらいリターンするのかが測れないので、結局うまくいっているのかいっていないのかわからない。なぜなら明確な判断基準がないから。
「特別開発課」なんていう、何を開発するのか分からないような部署が本当に会社の未来を創るとは到底思えない。だから左遷というか会社の中で立場が弱いという意味で書きました。
開発部門に送られたメンバーたち中山・大蔵・横山+主人公。左遷されたけれど、優秀だったという4人のチーム。優秀さとは。
一言でいうと普通の日本タイプの企業において規格から外れている人たちだと思うんですよ。
減点しない人が優秀だといわれている日本企業の中だとこのメンバーは評価されません。要は、新しいものを作る、新しい発想が出せる人材は、減点法で評価されると評価されない側になってしまいます。実際、未来を作ったり新しいものを作ったりすることに関すると、彼らのリサーチ力や発想力は明らかにそれに向いています。それに対して、決められたことを決められたように素早くやるっていうことに関していうと、この人達は得意ではないので、左遷という形ではじきとばされています。ミッションや責務によって優秀さの基準が違うということなのかなと思います。
メンバーそれぞれの優秀さ
中山は圧倒的なリサーチ力。一般的な優秀さに近いんですけれど、この人はコミュニケーション能力が極端に低いのでそこで大きく減点されて、通常組織ではマイナス評価になるという感じです。大倉も通常組織では全く評価されないタイプですが、常識にとらわれない着眼点と突拍子もないアイデア発想力がある。横山もクリエイティビティプラス視点が高く、さらに未来を読める能力もあるけれど、自分の意見を通すために周りとの衝突も辞さないスタイルが日本企業には合わない。一方、主人公の持田は比較的バランスがよい。分析力もクリエイティビティもあるし、統率力もある、いわゆる日本の企業で優秀さを認められる能力があると思います。持田以外は、海外企業ではその能力を評価されるのかも知れません。
チームの在り方とは
中山・大倉・横山という一般的には社会不適合者、動物園なんていう言い方をしたりもしますけど、こういう人たちが普通の部署にいると、輪を乱す感じになるのをうまく主人公がまとめています。主人公が部下の個性を引き出し個性を肯定しているからこそ、この3人が活きてくる。この3人が違う方向でとがっているので、クリエイティブなことをするのであればベストなチームかなと思います。
インプット・プロセス・アウトプットが定義されているような組織には、旧来的な軍隊的マネジメントが必要になってきますけど、より0→1のクリエイティブな世界はマネジメントの在り方も変えないといけないと思います。重要なのは各人が設定された共通のゴールに対して何ができるかを考えられる組織だと思います。自分の役割はこうじゃなくて、チームの共通の目的に対して自分は何をすべきなのかを考えて行動できること。だからクリエイティブな議論の中で重要なのはゴールの共有です。そのゴールが求心力になって、その求心力がマネジメントの核になっていく。その共通のゴールっていうのが、明るい未来だと思っています。
理想的なチームビルドには、未来のゴールを共有し、それを求心力とすることが大切だと思います。取りまとめるというのはリードするということ。ジャズのセッションの中でリード役ってあると思うんですけれど、指揮をするんではなくリードするっていうかんじです。1歩先に音を出していくとかそういったリード役をやっているだけの話であって、緩やかに求心力に対してつながっているというのが、0→1のチームのマネジメントの在り方なんじゃないかと思います。
そして、私はもはやチームはマネジメントレスがいいと思っています。マネジメントしないで個々が考えてやるような。求心力ありき。いま日本に求められているのはやっぱりそこだと思います。





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